仲介業者を利用

自力で病院と連絡を取って、自力で航空券を手配して、自力でホテルを押さえた上で渡航し、手術を受けて帰国する。勿論その方法でタイでSRS(性別適合手術)を受けることはできる。しかし、それ等の手間を肩代わりしてくれる仲介業者というのも存在する。
海外への渡航の経験もなく、旅行慣れしている訳でもないぼくは仲介業者を利用することを視野に入れて、タイでのSRSを計画した。

 

タイという国は美容整形が盛んで、各病院の医師もそれだけ秀れた腕を持っている。国が観光と並ぶひとつの事業として捉えているくらいだ。しかも日本に比べて物価が安いので手術費用も安く上がる。同じ手術でも国内の病院で受けるよりはタイの病院で受ける方が、渡航費を含めても安い金額で済むのだという。
(後日追記 : 通院中の某医大ジェンダークリニックで訊ねたところ、その病院での手術療法には業者を利用したタイでの手術療法の倍額の費用が掛かることが判った。総額400万円ほど)

 

さて、SRSだが、この手術も内容だけを見れば美容整形の技術で行なわれるもので、タイでは受ける人もさしてめずらしくない。もしかしたら国内で受けるよりも高い技術の手術を受けられるのかもしれない。情報を探しまわった結果、ぼくはタイでのSRSをコーディネートしている仲介業者を複数、見つけた。タイの病院とそこで治療を受けたい人との仲立ちをしてくれるのである。その中で、今回ぼくが択んだのはA社。大阪に事務所を構え、タイでの美容整形手術及びSRSの仲介を主に行なっている。
A社の料金システムは、手術を受ける病院と滞在に利用するホテルの予約代行、空港やホテルや病院への送迎、日本語ができるガイドの手配、手術、宿泊の費用がすべてひとつのパックになっている。

 

A社のWebサイトを見ると、なるほどSRSを受けたい者には有難い情報が沢山詰まっている。しかしインターネット上の情報は、よいものも悪いものも鵜呑みにするのは危険である。ぼくはより確かな情報を得るためにA社にアポイントを取って、大阪の事務所を訪問した。2004年の冬のことである。
社長のS氏が直接応対してくれて、仲介のシステムや料金を一から説明した上で、実際の手術写真などを見せてくれた。国内での手術との違いや安全性、利便性などについて質問すると、ひとつひとつ丁寧な回答があった。それ等に納得できたぼくはこの会社を利用することにした。
ここでの質問や回答の内容は省いておく。利用しようとする人によって必要な情報というものは変わってくるし、自分で質問して自分でその回答を確かめるのが最善だと思うからだ。自らもタイでSRSを受けようと考え、仲介業者の情報が必要だという人は、直接当たってみてほしい。

 

説明を聞きに出向いて、A社とA社が主に仲介しているヤンヒー病院にすべてを預けても後悔しないという肚が決まった。しかし費用が直ぐに捻出できる訳でもなく、貯金ができるまで少し待つことになる。
貯金ができるまでの間に更に詳しい情報を得ておいた方がよいと考え、 何度かメールでA社に質問をした。何れの質問に対しても回答は迅速かつ丁寧、申し込み後の対応も然りで、ぼくの信頼は更に深まった。
そして、出発1週間前になると社長のS氏が自ら電話をぼくにくれて、必要な書類がすべて揃っているか、体調は整っているかなどを気遣ってくれた。帰国後4日めにも同じく「その後如何ですか」という電話があった。きめ細やかなケアである。

 

もしもぼくが、タイの病院で手術療法を受けようという人から直接相談を受けたなら、英語での日常会話が不自由なくでき、病院側からのこと細かな説明を逐一求める訳でもないなら、という条件付きでA社を介してのヤンヒー病院での治療をすすめることと思う。
但し、手放しで「行ってこい」とは、決して言わない。その理由はこの後の入院記で追々述べることになる。その情報を吟味した上で、ぼくと同じ方法を選択するか否かはこれを読んでいるあなた次第だ。

 

申し込みの書類を提出し、費用のうち指定された金額または全額を納めると、A社から宅配便が届く。その内容は以下の通りである。

1.

航空券

 

A4判用紙に印刷された、いわゆるe-チケット。空港のカウンタで見せてボーディングパス(搭乗券)を発行して貰う。

2.

出入国カード

 

タイの入国管理窓口に提出する。飛行機の中でも貰えるが、予め記入しておくと手間取らずに済む。記入の仕方(A4判)も付いてくる。

3.

空港ターミナル案内図

 

出発空港(国内4箇所)、ドンムアン空港(バンコク国際空港)の両方の見取り図。

4.

A社からの注意事項

 

渡航前の諸注意、空港に到着の際に行なうべきこと、所持品などについて丁寧な解説が添えられている。出発前に熟読しておくべき。

5.

ツアーバッジ

 

A社のツアーバッジ。ドンムアン空港でA社のガイド氏と合流するときの目印になる。

これ等を受け取れば、あとは旅券と現地で必要な分の現金、衣類等を詰めた鞄を持って出掛けるだけでよい。

 

それぞれについて不審な点、不明な点があればA社にメールや電話で問い合わせることができる。これ等についての対応も丁寧。少しでも判りづらいことがあれば訊ねて明瞭にしておくべきだろう。これを面倒に思うようなら、手術など受けるべきではない。
己れの生涯を左右するかもしれないことなのだから、自らがすべてに納得できるように情報なり状況なりを調えるのは当然のことではないだろうか。


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